(6) 今どきの学び(私のリスキリングや学び直しから)

はじめに

 私は20年間以上IT関係の仕事をしてきました。汎用コンピュータでのシステム開発から始まり、情報ネットワークの整備、情報セキュリティ対策や監査、さらには、教育現場へのギガスクール端末の導入などにも関わってきました。

 その都度、関係する知識が必要になるので、本を読んだり、講習会に参加したりしてきましたが、最近の学びは、大きく変わってきていると思います。今回は、最近の私のリスキリングや学び直しを通じて感じた、ITを活用したスマートな学びについてお話ししたいと思います。是非、この記事を読んで、皆さんの学びの参考にしていただければと思います。 

今どきの学び

〇以前は、何か勉強するには、本を買って読んで勉強するか、会場に行って講座を受講するのが一般的でしたが、今は、色んなことが、動画で分かり易く、お手軽に、良い教材で学べるようになっています。

〇皆さんは、MOOC(ムーク)をご存じでしょうか。Massive Open Online Courses(大規模公開オンライン講座)の略で、インターネット上で誰もが無料で、大学レベルの講義を受けられるという理念で始まった世界的な学びの動きです。

〇日本でもMOOCとして、gacco(ガッコ)というのがあり、大学教授や専門家の無料の講座で、教養、実務、リスキリング、社会課題まで、今の時代に必要な学びが、幅広くカバーされています。講座を探して、学習を進め、所定の条件を満たすと、修了証ももらえます。私も、社会人向けのデータサイエンスの講座を受講したことがあります。(https://gacco.org)

Udemy(ユーデミー)という、様々な経歴を持つ講師が作成した動画のコースを、購入して学ぶものもあります。面白いのは毎月バーゲンが行われて、通常は数万円する講座が、2千円以下でお得に受講できます。私も、AIからCAD、さらには、作曲、投資に関する講座を受講したことがあります。実は、このブログもUdemyのバーゲンで購入したWordPress(ワードプレス)の講座で勉強して始めました。https://www.udemy.com

〇さらに、アカデミックなMOOCとしては、Coursera(コーセラ)というのもあります。世界の名門大学や企業(スタンフォード大学、Google等)が提供する講座になっているようです。

〇MOOCとは少し異なるもので、地方創生カレッジという、内閣府の補助で運営されているeラーニング講座もあります。私も、公共政策の講座を受講したことがあります。(https://chihousousei-college.jp)

 以上、私が利用したことのあるものを中心にご紹介しましたが、色々な講座が、基本的に無料(または安価)で学べます。皆さんも趣味の講座からでも試されては、いかがでしょうか。

私のリスキリングや学び直し

 私は、将来は長く経験したIT分野で、世の中の役に立つ仕事がしたいと思って学び直しを始めました。その頃、世界最高齢のプログラマーとして、81歳でアプリを開発された方の話もあり、そんな風になれたらいいなと思った記憶もあります。

 AIやデータサイエンス分野の人材は、今後もニーズが高いと聞き、せっかく勉強するなら資格も取ろうと思いました。ちなみに、新たなスキルの習得をリスキリング、既存の知識の再評価・再習得を学び直し(リカレント)というそうです。

データサイエンティストの資格取得法

〇経済産業省も参加するデジタルリテラシー協議会は、デジタルを使う人材が身に付けるべきデジタルリテラシーの範囲として、ITソフトウェア領域、数理・データサイエンス領域、AI・ディープラーニング領域の3領域を定め、それに対応して、ITパスポート試験、データサイエンティスト検定、G検定の資格が推奨されています。

〇私は、まず、データサイエンティスト検定から始めることにしました。

〇Udemyにもデータサイエンスの講座は沢山ありますが、資格の取得には、専用の講座を受けた方が良いと思い、スキルアップAIが提供する、無料のオンライン講座「DS検定リテラシーレベル対応データサイエンティスト基礎講座」と、DS検定対策の問題集「徹底攻略データサイエンティスト検定問題集」で勉強しました。https://www.skillupai.com

〇DS検定は合格ラインが約80%と高いので心配しましたが、講座と問題集を繰り返し学習して1回で合格することができました。

E資格の取得法

〇AIには以前から興味があり、特に、ディープラーニング(深層学習)をエンジニアとして実装できる知識やスキルを身に付けたいと思っていたので、次は、AIエンジニアのE資格に挑戦することにしました。

〇E資格を受験するには、JDLA(日本ディープラーニング協会)の認定プログラムを受講する必要があります。多くの認定講座がありますが、前提知識が不要で、価格が安く、期間が短く、印刷できるテキストのある「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」(AI研究所)で勉強しました。https://ai-kenkyujo.com

〇E資格は、偏微分等の大学教養レベルの数学、機械学習やニューラルネットワーク、画像認識に必要なCNN(畳み込みニューラルネットワーク)、生成AI等の自然言語処理に必要なRNN(リカレントニューラルネットワーク)など、かなり難解な内容で、途中でめげそうになりましたが、動画やテキストを繰り返し見たり読んだりすることで、何とか理解できました。

〇「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」(AI研究所)には、プログラミング演習、問題集、さらには試験直前のフォローアップ講習まであり、この講座を繰り返しで学習することだけで、1回で合格することができました。

ITストラテジストの資格取得法

〇E資格に合格した後、ここまでIT系の勉強をしてきたら、IT系の最高レベルの資格であるITストラテジスト試験に挑戦するしかないと思いました。丁度、英語学習における英検1級のようなものだと思います。

〇ITストラテジスト試験では、ITストラテジスト講座初学者コース(スタディング)で、基礎(ITパスポートの内容)からITストラテジスト試験の内容までを、今回も動画とテキストで積み上げていきました。確認問題もあり、また、間違ったものは繰り返し出題されるので、定着するまで学習できました。(https://studying.jp)

〇私は、IT分野の経験が長かったので、この講座で学習していると、あの時に先輩に教えてもらったなとか、あの時の講習会に行って勉強したなとか、懐かしく感じながら勉強しました。

〇この試験は、午前Ⅰ、Ⅱ、午後Ⅰ、Ⅱの4部構成で、午後Ⅱの論文がポイントになります。そこで「ITストラテジスト 最速の論文対策」(TAC出版)も使って万全を期しました。

〇当日、試験が終わった時は、良くできたと感じました。しかしすぐに、論述対象の概要というアンケートのようなシートに記入し忘れていたのに気づきました。試験結果は、午後Ⅰまで合格、午後Ⅱで不合格でした。

〇実は、私は試験前日に気を失って救急車で病院に運ばれていました。医師からは「試験に行くか、よく考えてくださいね。」と言われましたが、「こんなに勉強したのに、行かないなんて考えられない。」と一生懸命に試験を受けました。

〇ITストラテジスト試験は年1回なので、また、来春に受験したいと思っています。今回の不合格は残念でしたが、逆に、繰り返し勉強して、知識を定着させる良い機会を与えてもらったと思って、また、繰り返し、コツコツと勉強しています。

まとめ

〇今回は、ITを活用したスマートな学びについてお話ししました。今は、色んなことが、動画で分かり易く、お手軽に、良い教材で学べるようになっています。特に、gacco(ガッコ)、Udemy(ユーデミー)には、豊富な講座が揃っているので、一度、チャレンジされてはいかがでしょうか。

〇私は、IT分野で、データサイエンティスト、E資格、ITストラテジストに挑戦しました。ITストラテジストには失敗しましたが、繰り返しコツコツと勉強して、来年は達成感を味わいたいと思っています。

〇最後に、今の時代は、ITを活用することで、本当に効率的・効果的に勉強できるようになっていると思います。しかし、動画を見るだけでは、分かった気になるだけで終わってしまいます。動画を見てインプットした後は、問題を解いたり、理解した内容を自分でまとめたりするアウトプットが必要です。また、繰り返し学習ではテキストを何度も読み返すことで、知識を体系づけて定着することも大切だと思います。