(3) 新たな5年間の挑戦とその中での学び
前回、約10年間かけて英検1級に合格したことを書きましたが、今回は、その後の約5年間の海外大学への挑戦(遠隔教育なので実際には行っていませんが・・)についてお話したいと思います。海外大学なんて関係ないと思われるかも知れませんが、この経験を通じて分かった「学び方」、「物事の考え方(の違い)」など、エピソードを交えて書きますので、是非、お読みください。

海外の大学に挑戦

〇私は、英検1級に合格した後、当時は残業の多い忙しい職場で仕事も大へんでしたが、それでも新たな挑戦がしたくて、ロンドン大学のインターナショナルプログラム(150年以上の歴史、180カ国の学生)に挑戦しました。
〇LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス)というカレッジで、グラデュエイト(大学卒業者)ディプロマを取得可能なマネジメント(経営学)コースに入りました。
〇仕事をしながら教材とオンラインで学べて、授業料も通信教育より少し高い程度でした。5年以内に4教科を取れば卒業できるので、毎年1教科にパスすることを目標に頑張ることにしました。
厳格な入学手続き
〇手続きは全てオンラインで行えまたが、特に成績証明書の扱いが厳格でした。ずいぶん昔に卒業したので出身校で成績証明書が発行してもらえず、当時の通知簿を自分で英訳して送ると、外務省の証明が必要だという返事が届きました。
〇結局、専門の方に通知簿を翻訳してもらい、公証人役場で外務省の認証を得るという、「そんな事までしないといけないの?」という手続きをしました。心折れそうになりながらも、何とか手続きをして入学できました。
〇なお、手続きの中で「あなたは獄中ですか?」という質問もありました。ノーベル平和賞を受賞した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領も獄中で、ロンドン大学の通信教育を学んでいたと知り、獄中の人にも教育を提供することに感心しました。
〇逆に、入学するには英語でIELTS(アイエルツ)で7点台を取る必要があるのを、英検1級でも認めてもらうよう掛け合ったところ(ネット上でそういう情報があったので)、教授会で相談して認めてくれるという寛容さもありました。
英語での大へんな学習

〇教材は、テキストのほか、参考図書、参考文献(論文)(ロンドン大学の図書館等からオンラインで検索可)でした。
〇学習方法では、講義の動画もありましたが、基本、教材で自分で学びました。全て英文なので、精読しないと理解できず、一通り勉強するにも時間がかかります。平日は通勤電車の中で、休日は朝から晩まで、受験生の頃以上に勉強しました。
〇教材を学習する際は、後で読み返す必要があるポイントにマーカーしました。毎回の学習の最後や、タイミングを見て、マーカー部分を読み返すことで、効率的に繰り返し学習を行いながら、コツコツとスマートに学んでいきました。
年に1度の厳格な試験
〇試験は、毎年5月頃に、東京、大阪のテストセンターに行って、約3時間の試験を受けました。当然、全て英語で記述式で回答を書きました。不正防止のためか、回答はシャープペンではなくボールペンで書き、間違った時は線で消して書き直さないといけないので、頭で文章を組み立ててから書きました。試験の時に足を踏ん張ってたので、終わった後は筋肉痛になりました。
〇試験を受けるにはエントリーが必要で、5年目の試験にエントリーする際、最後の1教科に何度もチャレンジしていたので、同一教科を3回は受けられないとの指摘を受けました。その際も掛け合ったところ、教授会で認めてくれました。
〇結局、私は、5年間で4科目中3科目しかパスしなかったので、残念ながら卒業できませんでした。特に、5年目はコロナ禍になり、試験もオンラインで受けました。その際、自宅の自分のパソコンの調子が悪く、試験開始で配られた問題用紙が開かず、「なんで、こんな事になるの?」と焦りながら、急遽、子供のパソコンを借りるというトラブルにも見舞われました。
〇私は、このコースをしっかりと学んで十分な知識を身に付けていたと思っていますが、これ位で答えておけば大丈夫だろうと思った書いたのでは不十分で、もっと根拠と具体例を沢山入れた、詳細で明確な意見や回答をしなければならなかったと思っています。ロンドン大学を卒業するのは難しいと聞いていましたが、やはり難しかったです。
※前回お話した近所のイギリス人の英会話の先生に、英検1級の二次試験(面接)のトレーニングをしてもらっていた時も、「あなたはどう考えるのですか。何故、そう思うのですか。具体例は何ですか。」といつも言われてたのを思い出しました。
まとめ
〇今回の挑戦で、ロンドン大学のLSEで経営学が学べました。残念ながら卒業はできなかったので、達成感は味わえませんでした。しかし、ネイティブと全く同じ条件で試験を受け、4教科中の3教科にはパスできましたし、挑戦の過程では本当に頑張って成長できたと思うので、そういう意味では、「充実感」や「成長感」を感じることはできました。
〇今回は全て英語で高度な内容を学習するという状況で、最初に教材を読む際にちゃんとマーカーをつけておき、その教材を回転よく繰り返し読み返すという工夫をすることで、知識が体系化されて理解が進んでいくという経験をしました。学習において繰り返しが大切なのは勿論ですが、ポイントを回転よく繰り返し復習することで、そのポイントの知識が、頭の中で体系化されて定着することに気づきました。さらに、それを図にまとめるなどすると一層、理解が進みました。
〇さらに、日本での私の常識とは違う考え方、特に厳格で合理的・論理的な考え方を知ることができました。まず、入学等の事務手続きでは、そこまでやるのかという位の手続きが求められ、また、試験への回答では、根拠と具体例を沢山入れた、詳細で明確な意見や回答が求められました。一方で、意外に杓子定規ではなく、融通を利かしてくれる、寛容なところもありましたが・・・
※また、少し話が違うかも知れませんが、イギリス人の英会話の先生と日本の学校の話をしていた時のことですが、イギリス人の先生は、「先生は、先生だから偉いんじゃない。先生としてちゃんとした教育をするから尊敬されるんだ。」と、この言葉は、先生だけでなく、政治家でも、上司で当てはまると思います。私も自分の立場に求められる仕事を、しっかりしなければいけないと思っています。
〇今回の挑戦では、やり残し感や悔しい気持ちが残っていますが、この歳になって学び方が分かり、物事の見方・考え方も変わったように思います。
<最後に>
・ロンドン大学のインターナショナルプログラムは、試験日程が特定の日に限定されているため、職場で管理職になって欠席不可の会議等も多くなり、受験できない可能性が高くなったので、すぐに再チャレンジすることは見送りました。定年して時間に余裕ができたら、是非、チャレンジしたいと思っています。
・これで、10年間の英検、5年間の海外大学という、大きな挑戦から解放されて、自由に色々なことができるようになりました。特に、コロナ禍の中で、家にいる時間も長くなり、ギターを始めたり、そこから派生して作曲したりするようになりました。また、自分の思いを曲にすることの楽しさや、実際にアプリで作る方法などについてもお話しようと思います。音楽の専門な知識や経験がない方でも、曲を作って楽しめるようになるかなと思います。